生前贈与加算②
それでは、
過去に相続税の申告をしたお客様でこのような方がいました。 その方のお父様が認知症に近い状態となり、 また具合もよくないことから亡くなった後に備えて預金を引き出し ました。ただ、 その方は定期預金や保険など資産となるものがたくさんありました ので、普通預金にしてATMから何日もかけて出金しておりました。 その後、相続となりこの時の預金引出しが論点となるのですが、 引き出した金額はそっくりと別の口座に保管してあるとのことでし た。このような場合、 被相続人の認知能力が乏しく贈与の意思表示が困難ですし、 また引き出した預金が使われたわけでもありません。 税務署にも確認した結果、 その申告では現預金という扱いとなりました。ただ、もし引き出した預金を使っている実績があった場合には、 贈与とされる可能性もあります。贈与とされた場合、 過去の贈与税申告をし贈与税を納める必要があったわけで、 さらに延滞税等の罰金も追加で納付しなければいけません。
今回のケースとは別に被相続人の預金が少額であれば、 贈与の外観を明確にした方がいい場合もあります。 贈与は毎年110万円まで非課税ですので、 その金額以内であれば今回のように名義預金となるよりも税金が発 生しないことになります。 その際は贈与契約書を作成しお互いの意思表示を明確にすることが 大切となります。
このように、 同じような引出しであっても贈与となる場合とならない場合があり ますので、 長期的に考えてどのような位置付けになるのか注意する必要があり ます。
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