私が独立開業するまで(事業会社での経験)

事業会社で働くという経験は自分にとって大きかったと思います。監査法人時代は自分の会社の売上を伸ばして大きくしよう、という意識はほぼありませんでした。監査法人も営利企業ですので当然売上を伸ばし利益を計上することを目的としているのですが、毎年自社の売上がいくらだったかを意識している人は少なかったと思います。監査法人で営業をするのはパートナーであり、実際の営業シーンを見ることもないので、そういった意識も芽生えにくいのだと思います。また、監査報酬の交渉も基本的にはどのような話しが顧客と行われているか見えにくく、現場レベルでは頑張りようがないということもあります。さらに、働いているのは資格を持った士業であり、会社よりも個人としてどのような経験をしてキャリアとしていくのかに興味がある人が多いのではないかと思います。

 

一方、事業会社では売上と利益を強烈に意識させられます。毎期全社会議があり、社長が達成具合と次期の目標を数字として示します。目標を超えていれば士気が上がり、そうでなければお通夜の雰囲気です。事業会社である以上、売上と利益を上げることは至上命題ではありますがそれを体感できました。また、よりいいものを作るという意識も参考になりました。提供しているサービスで十分かどうか、指標を見ながら様々な角度から分析してさらにいいサービスを提供する、そしてそれが新たな売上につながるという循環です。これは当然のことのように思っていましたが、監査法人ではいくらいい監査をしても顧客が喜ぶわけではなく、新たな売上につながることはありません。もちろん監査の中でも顧客が喜ぶやり方はありますし、指導的機能を発揮して付加価値を提供することもあります。顧客とのリレーションシップがよくなれば監査報酬にも反映することもあると思います。とはいえ、事業会社で感じられる直接的な関係性はそこまでありません。

 

さらに各部署の連携も事業会社と監査法人では違いました。監査法人では各部署独立して動くことが多く、何をしているか外からはわかりません。また、他部署に何か物申すようなことはほぼなく、他部署の作業結果を有り難く参考にするといった関係でした。しかし、事業会社ではもっと各部署の関係が密で、会社のために意見を言い合います。逆に各部署の主張が強すぎるとセクショナリズムの一面がでてくることもあり、組織というものは生き物のようであると実感しました。

 

監査法人と事業会社では、働き方も組織もかなり違いがあり、双方を経験できたことが自分にとってとても大きな財産となったと思います。

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