親族間での売買する際の価格②

前回の説明の通り、親族間での自社株や不動産の売買は時価がポイントになります。それでは何を時価とすればいいのか、という問題が次に発生します。この点、株であれば時価の計算方法が詳細に決まっているため、あまり問題にはなりません。株の場合、上場している株式であればインターネットで時価を調べられます。また、上場していない株式であれば、その会社の決算書等の数字をもとに決められた計算式を当てはめることで簡単に時価を計算できます。たまに設立時の1株あたりの金額で売買してしまう事例がありますが、基本的にはダメです。その場合は前回記載したように、時価との差額について課税されます。

 

では不動産の時価はどうでしょうか。土地と建物で異なるので、まずは土地から説明します。時価として考えられるのは相続税評価額(路線価・固定資産税評価額)、不動産鑑定士の評価、近隣の売買価格の事例、があります。この中では、不動産鑑定士の評価があるのであればそれを使うのがいいかと思います。ただ、鑑定費用がそれなりにかかりますので、土地の売買の度に鑑定評価をしてもらうことは現実的ではありません。また、近隣の売買価格の事例がわかればその価格を使うのがいいかと思いますが、そもそも売買がめったに行われないような地域であったり、売買されていても一般人にいくらで取引されたのか調査できるはずがありません。またどの事例を参考にするのか恣意性も出てきます。ですので売買事例もなかなか使いにくいです。そこで、よく採用されるのが相続税評価額です。ただ、相続税評価額は実際の売買価格よりも低めの水準に設定されていますので、相続税評価額÷80%をした金額を時価とする方法がかなり多く使われています。

 

次に建物ですが、時価として相続税評価額(固定資産税評価額)、簿価、不動産鑑定士の評価、再調達価額といったものが考えられます。実務上簡単なのは簿価で売買することです。賃貸物件等で毎年確定申告をしていて簿価を計算している場合には、簿価で売買すれば通常問題ありません。また、建物が自宅の場合は簿価がありませんので、固定資産税評価額であれば客観性もあるためおおよそ問題ないかと思われます。1つ問題となるのは賃貸物件でかなり昔に購入した建物です。その場合は耐用年数が過ぎて既に償却が終わっていることが多いので簿価が1円だったりします。まだ価値が残っていると思うから購入するというのに、さすがにその価値が1円ということは無いので、その場合は固定資産税評価額や再調達価額(減価償却額を除く)といったことが考えられます。

 

このように時価にどの価格を採用するのかというのは明確に決まっているわけではありません。どの価格が客観的な売買価格になるのか、という視点で税理士もその都度悩んでいるというのが実情です。

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