インボイス制度の導入について

消費税の制度はここ最近改正が頻発していまして、税率も8%から10%になり一部は8%が混在しているという複雑な状況となっています。そして、さらに複雑になりそうなインボイス制度というものが導入されようとしており、最近の税理士会等でもよく聞くようになってきました。この制度は一般消費者には関係の無いお話ですが、事業をしている人にとっては大きな影響を与えるものとなりそうです。

インボイス制度について理解するには、そもそも消費税がどのような制度になっているかを理解する必要があります。消費税は消費者が負担し、販売者が一時的に預かってから国に払うという仕組になっています。これだけならシンプルなのですが、現在の消費税の制度では免税事業者といって販売者でも消費税を国に払わなくてよい人がいます。事業を始めたばかりで規模も小さいため、消費税の計算を大会社と同じようにやるには事務負担が大きすぎる、という理由で消費税を免除されているわけです。具体期には年間売上が1000万未満の事業者のことですが、現在の制度だとこの事業者は消費税分だけ得をすることになります。

例)
商品を1,000円(税込1,100円)で仕入れた →支払った消費税額は100円
商品を2,000円(税込2,200円)で売った →預かった消費税額は200円
国に納める消費税 200円−100円=100円

 

上記の例の場合、もし免税事業者であれば100円を国に納める必要がありません。そのため消費税の100円分得をすることになります。これは益税と呼ばれるものでして、今回のインボイス制度の目的は益税を解消することにあります。つまり、残念ながら事業者にとってよくない改正ということです。

 

具体的にどうやって益税を解消するのかといいますと、課税事業者を登録制として、登録していない免税事業者から何か購入しても消費税控除を受けれないこととしました。そうすると大部分の人は登録している課税事業者から購入した方が有利なので、免税事業者でも登録して課税事業者となる人が増えることとなります。ここで、では免税事業者のままでも消費税分値段を下げて販売すればいいのではと考えるかもしれません。ただ、その場合には免税事業者が損をすることとなります。

例)
(登録して課税事業者となった場合)
商品を1,000円(税込1,100円)で仕入れた →支払った消費税額は100円
商品を2,000円(税込2,200円)で売った →預かった消費税額は200円
国に納める消費税 200円−100円=100円
儲け 2,200円-1,100円-100円=1,000円

 

(免税事業者のままの場合)
商品を1,000円(税込1,100円)で仕入れた
商品を2,000円で売った(2,200円→2,000円に値下げ)
国に納める消費税 0円
儲け 2,000円-1,100円-0円=900円

 

なんと免税事業者よりも課税事業者となった方が得だという衝撃的な結論となります。

 

インボイス制度関連のスケジュールは以下のようになっています。

<インボイス制度のスケジュール>
2021年10月1日(金)~2023年3月31日(金)まで適格請求書発行事業者の登録申請開始
2023年10月1日(日)インボイス制度開始

 

また、免税事業者から購入した際の仕入税額控除ですが、すぐに0となるわけではなく、下記の通り段階的に減っていきます。

<免税事業者からの仕入税額控除の廃止スケジュール>
2023年9月30日(土)まで:100%控除
2023年10月1日(日)~2026年9月30日(水)まで:80%控除
2026年10月1日(木)~2029年9月30日(日)まで:50%控除
2029年10月1日(月)から:完全廃止

 

今回のインボイス制度は小規模事業者にとってはかなり残念な制度です。消費税申告をする事業者が確実に増えるので、税理士事務所としては仕事が増えるわけですが…複雑な心境です。

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