事業承継方法の比較2

前回に続いて事業承継の方法を比較します。まずは前提と事業承継で比較した5つの方法を再掲します。

それぞれの特徴は以下のようになります。

1)贈与

・贈与税が高い。これを選択するなら事業承継税制にすべき

・そこまで株価が高くなく、かつ贈与の期間が長く取れて毎年少額づつ贈与できるのであれば有効

2)売買(自社株買い)

・3)と同じようなスキーム。2)は配当所得となり税金が高いので3)の方がベター

3)売買(息子の会社)

・株の購入資金としての銀行借入の利息が発生する

・銀行借入は会社からの配当金を返済の原資とするが、今後会社の業績が落ちた場合に借入の返済が困難になり借金だけが残る

・売却により現経営者に多額の現金が入ることになる。今回の売却による税金だけでなく、相続時にこの現預金についても相続税が発生する

4)相続

・事業承継税制と比べて縛りが少ない、業績が下がって株価が下がった場合相続税も低くなる

・会社の業績が上がって株価が上がると相続税の支払いが困難となる。相続した株を会社に買い取ってもらった場合は配当所得ではなく譲渡所得で計算されるという特例があるものの、相続税と譲渡所得税が課税されるため納税額が多額になる

5)事業承継税制

・税金が全く発生しない

・そもそも適用可能か確認する必要がある、毎年届出を出す必要がある、など手続きが煩雑なため依頼する税理士への費用が発生する。また、期限が決まっており令和5年3月までに実行する必要がある

・将来株を売却したり解散する場合、その時点で猶予していた贈与税が発生する。ただし、下記*のように特例があるためそこまで問題にならない。

*株の譲渡、合併、解散をする場合はその時の株の時価を再計算して、当初の時価よりも低ければ猶予されている税額の一部が免除される。逆に株価が上昇していた場合でも、猶予額が増えることはない。

 

それなりに株価がある会社に関していえば、事業をこの先継続する予定で、跡継ぎも決まっている場合は上記の通り事業承継税制一択かと思います。事業承継税制についてさらに検討してみると、その後の業績に応じて以下のようなことが想定されます。

a) その後業績が良くなって株を売却したい

途中で会社を売却して事業承継税制を中断する場合、その時点で猶予していた贈与税を払う。先述の通り株価が上昇していた場合でも、猶予額が増えることはなく、当初の猶予額を払えばよい。また、会社を売却した資金があるので贈与税の支払いは容易。

b) その後業績が悪くなって株を売却したい

上記の通り、会社株式を売却する時点で猶予していた贈与税を払う。ただ、猶予されていた贈与税が売却・解散時の時価相応の金額まで減免されるため、支払いは困難ではない

c) 廃業したい

跡継ぎの息子が途中で会社経営をやめたくなり、会社の売却先も見つからないような場合、廃業して会社を解散・清算することとなります。この場合、猶予されていた贈与税を払うこととなります。会社の経営も傾いていて株価が下がっていれば贈与税も相応に減免されるので問題ありません。会社が順調なうちに廃業しようとする場合(考えにくいですが)、贈与税を払う資金が問題になります。会社に現預金がある程度あるのであれば、解散して清算する際に分配された現預金で支払うことが可能です。ただし、清算による株主への分配時に配当所得が発生し、総合課税による多額の税金が課税されます。そしてそこから猶予された贈与税を払うこととなりますので、税負担はかなりのものとなります。

 

事業承継税制が改正されて使いやすくなったことで、上記のようによほどのことがなければ事業承継税制を利用するのがいいかと考えます。その際に手続きを税理士に依頼することが一般的かと思いますが、費用はどれくらいかかるのでしょうか。税理士費用は主に2パターンあり、猶予税額の3%ほどとするパターンと、書類の提出毎に費用が発生するパターンがあります。前者のパターンでは、例えば今回のように猶予される贈与税額が185,495,000円であればその3%である550万円ほどが一式の請求額となります。高価ではありますが、次回の事業承継まで数十年間?対応することになりますので、それくらいの相場で妥当ではないかと思います。また、後者のパターンですが、株価算定、特定承継計画の作成、贈与税申告書作成、都道府県庁への年次報告、税務署への継続届出の作成といった流れとなりますのでその都度請求(各数十万ほど)があるものと思われます。この場合も年次報告、継続届出の請求は次の事業承継まで毎年続きます。

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